異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 ちなみに、ここテンプーラ王国は、肥沃な土地と潤沢な水 資源を有して、とっても豊か。さらに立地にまで恵まれて、水陸 共に各国の交易拠点として栄えている。
 だもんで、あっちからもこっちからも、おいしい物がわんさか流れてくる。
 そんなお国柄にあって、テンプーラ国民は得てして食べることが大好き。だから、初対面で握手するより先に、互いの突き出た腹で「こんにちは」と触れ合ってしまうことだってしばしば。
 かくいう私も、そんな巨漢のひとりだ。だけど、太ってい ようが誰に迷惑かけるわけじゃないし、私は体形などまるで気にしていなかった。
 ……むふふ。この国に天ぷらはないけど、フリットならあるじゃない。エビのフリット、イカのフリット……じゅるり。
 私はひとり、おいしすぎるテンプーラ王国の美食に思いを巡らせた。
「この国の食べ物がおいしいのは否定しませんが……。姫様、むしろ頬っぺたのお肉に関しては少々落とした方がよろしいかと。姫様のころころ、ぷくぷくの頬っぺたは、ここのところあきらかにその肉量を増しております」
 アイーダの苦言はしかし、おいしいあれやこれやの妄想に大忙しの私には、欠片だって響かない。


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