バレンタインのおはなし
「そもそもどうして受け取ってもくれないんですか」
ちょうど3杯目のビールジョッキが空いた。
ほどよくアルコールが体を巡って、気持ちがいい。
お酒に慣れてくると、“自分の器の大きさ”が徐々に掴めてくるもので、私はこれくらいのアルコール量が丁度いい。
ちなみにミヤ先輩はとんでもなくお酒が強いので、今でもサラッとした表情をしている。
あぁ、格好良い。
目の前にある大好きな顔を見つめていると、バツが悪そうに目を背けた。
「だって、それ貰ったら返事しなきゃいけないだろ」
「は?」
そんなの、当たり前と言えば当たり前だ。
「すればいいじゃないですか」
「出来ねーよ」
「私、ヘコんだりしませんよ、少ししか」
「別に俺、お前のこと振るなんて言ってない」
「は?」