バレンタインのおはなし
ため息が出る。
何それ、じゃあもうどうにもなれないじゃん。そもそもうちの会社は社内恋愛オッケーなのに、そこまで気にする?
あぁ、めんどくさい。でもそんなところも好きだけど。
「ひとつ確認してもいいですか」
「何?」
「私のこと好きですか?」
ダイニングバーを出て、いつも通りお金を受け取ってくれない先輩に文句を言った後、そう聞いてみた。
そんなこと聞く?、とミヤ先輩が苦い顔をする。
だって、そこ重要でしょ。先輩のよく分からないエゴで関係が進めないなら。
そこに好きという気持ちがあるなら。
もう、強行突破だ。
「言うの?」
「別に正直に言ってもらって構わないです、諦めるのは時間がかかりますけど」
「あーもうめんどくせーな、好きだよ、めちゃくちゃ可愛いし、いつもうっかり手出しそうになるのをめちゃくちゃ我慢してるよ」
これで満足か!
そう言い切る先輩の耳が、赤かった。