福山先輩、あのね。
『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます』
福山先輩を知ったのは、半年前の、入学2日目の全校集会。
上級生代表として、わたしたち新入生に歓迎のスピーチをしてくれたのが彼だった。
マイクから唇を離しているのに、体育館のはしっこまで響いた、よく通る声。
学ランが似合う、短く立てた黒髪。
颯爽としているけど熱い人。
それが、第一印象で。
『―――生徒会長、福山修二』
人の名前を覚えるのが苦手なわたしが、高校で一番最初に覚えたのが、彼の名前だった。