福山先輩、あのね。


まじめな子。
おとなしい子。
やんちゃな子。
大人っぽい子。

わたしたちはいつだって無意識に、自分や他人をカテゴライズして生きてる。きっとそうすることで安心したいんだ。

わたしだってそう。不まじめで好き勝手やってるように見られてるけど、ほんとは枠からはみ出してしまわないか、いつもビクビクしてる。

“いつもの気楽な仲間たち”から、はみ出すのが怖い。
一歩踏み出して失敗するのが怖い。


……福山先輩はそういうの、考えないのかな。

勉強もスポーツも、今のままでじゅうぶん認められているのに、なんでわざわざ苦手なことに挑戦しようなんて思えるんだろう……。


「――わんっ!」


ベッドに寝転んで考えこんでいると、愛犬のモモが足元にじゃれついてきた。
< 24 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop