福山先輩、あのね。
まじめな子。
おとなしい子。
やんちゃな子。
大人っぽい子。
わたしたちはいつだって無意識に、自分や他人をカテゴライズして生きてる。きっとそうすることで安心したいんだ。
わたしだってそう。不まじめで好き勝手やってるように見られてるけど、ほんとは枠からはみ出してしまわないか、いつもビクビクしてる。
“いつもの気楽な仲間たち”から、はみ出すのが怖い。
一歩踏み出して失敗するのが怖い。
……福山先輩はそういうの、考えないのかな。
勉強もスポーツも、今のままでじゅうぶん認められているのに、なんでわざわざ苦手なことに挑戦しようなんて思えるんだろう……。
「――わんっ!」
ベッドに寝転んで考えこんでいると、愛犬のモモが足元にじゃれついてきた。