福山先輩、あのね。
きっと先輩の中では、わたしのことなんてほとんど印象になくて。たぶん顔すらも、ちゃんと覚えていないと思う。
だからわたしという存在を、先輩に知ってもらいたかった。覚えてもらいたかった。
……でもまさか
“あんな形”で覚えられることになるなんて、想像もしていなかったよ―――
12月に入ってすぐの月曜日。体育館で、月に一度の全校集会が開かれた。延々と続く校長先生の長話を、わたしたちは冷たい床に座って聞いていた。
「あーもう、まだ終わんないのお?」
陽子はパンツが見えそうになるのも気にせずにあぐらをかき、だるそうに髪をいじっている。わたしも若干ウンザリしつつ、体育館に並んだ遠くの列に目をやった。