福山先輩、あのね。
「あれ? もしかして君って、1年の北島沙和ちゃんじゃねーの?」
さっきの3年生にいきなり名前を呼ばれたわたしは、目を丸くして「あ、はい……」と答える。すると彼は、ジュースのストローを前歯で噛みながら、にやにやと笑って福山先輩とわたしを交互に見た。
「あの作文の子だよね?」
首から上が、カッと燃えるように熱くなった。
恥ずかしさ、いたたまれなさ。それらが矢のように突き刺さり、体がぶるぶる震えて何も言えなくなる。
そんなわたしをさらにからかうように、彼は言葉を続けた。
「あ、もしかして今、福山に告白タイムだった? 俺、ジャマしちゃったかなー、ごめんね。でもまあ気にせず告ってよ。
おい福山、沙和ちゃんの愛の告白、ちゃんと聞いてやれよー」