福山先輩、あのね。
学校から400メートルほど離れた場所にあるコンビニの近くには、すでに応援の生徒たちがちらほら集まっていた。
その中には、木下の姿も。
「おー、沙和。お前らもここで応援すんのか」
「うん。あったかい飲み物もすぐ買えるしね」
縁石に腰かけたわたしのそばに、木下も当たり前のように腰をおろした。その距離の近さに、わたしが一瞬身構えると、木下はさりげなく少し間隔を開けた。
『俺の方が、お前には似合うって』
あの電話での会話のあとも、木下は何事もなかったかのように、以前と変わらない態度で接してくれる。それが有難くもあり、ちょっと心苦しくもある。