福山先輩、あのね。



あのゼッケンを下駄箱に入れたのが誰だったのか、わたしにはわからない。

もしかしたら誰かのイタズラかもしれない。何かの間違いだったのかもしれない。


それでもわたしにとっては
いつまでも大切な、宝物。



不器用で、幼くて
「好き」とすら伝えられなかった、わたしの初恋。


何ひとつうまくいかなくて、切ない想いばっかりで
だけど温かかった、一度きりの初恋。




……福山先輩。

元気ですか?

今も先輩はわたしにとって、誰よりもかっこいい憧れの人。


永遠に消えることのない、心の特別な場所で

今日も先輩は走っています。


-END-
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