復讐狐 4〜愛ノ形〜
「君のお腹には別の命が宿ってる。だから君の命は代償にはならない。」


「…え…?」

復讐狐の言った事をすぐには理解できない歩乃。
そんな歩乃に、復讐狐は丁寧な優しい口調で続けた。

「亜堂麗也との子供だよ。心当たりあるだろ。あんなDV野郎でも君にとっては世界一大切な人だもんな。良かったね。…でも、君も予想はしてるだろうけどあの男の暴力はこれからもずっと続くだろうね。お腹の子が生まれてからもずっと。最悪子供にまで被害が及ぶ可能性だって大きい。
それでさ、君に1つ提案があるんだ。」

そう言うと、復讐狐はそっと歩乃の両肩から手を退けた。

「君がもし、彼との子を妊娠した事を知った今でも彼に対する復讐心を抱いているなら、僕は依頼通り彼を殺そう。…でも、彼を殺した代償は、君の命でもなく、ましてや何の罪もないお腹の子の命でもない。
君に払ってもらう代償は、
『子供の父親を殺したという罪を一生背負って生きながら、どんなに辛くても子供を守る事。』」
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