マリンスノー
第2話
「雪加瀬さんに彼氏ができたんだって。」
「えっ?誰?」
「1組の水原?って人らしいよ。」
「誰それ……?」
「体育の時雪加瀬さんを助けた人らしいの。」
「なにそれおとぎ話みたい!」
ふたりが付き合ったという話は瞬く間に校内に広まった。
その早さは私が放課後、うみくんに直接聞く前に耳に届くほどだった。
「凪!」
最初に私の元へ駆けつけたのは、橘花ちゃんだった。
泣きそうな顔をして私に抱きつく橘花ちゃんに、私は笑いながら背中を撫でた。
「なに、どういうこと?全然話についていけないんだけど。」
「あはは~。」
「なんで水原と雪加瀬水菜が付き合うことになってんの!?」
そのストレートな質問に私は答えることができなかった。
私にも分からなかったから。
どうして、うみくんが雪加瀬さんのことをこんなに早く好きになったのか。
私の方が知りたい。
「凪……。」
私の顔を見た橘花ちゃんが声を漏らす。
「どうしたの?橘花ちゃん。」
「……泣きたいなら、泣いていいんだよ。」
「やだなあ、泣きたいわけないじゃん。」
そう言って笑顔の仮面を貼り付ける。
ずいぶん、作り笑いが上手になった。
この1週間、ふたりが話す姿をよく見かけた。
すれ違いざまに目が合っているところを、見たこともある。
知らない人じゃ気づかない些細な出来事。
でも私は知っている。
雪加瀬さんがうみくんを好きだってことを。
心の準備はしてたつもりだった。
でも、こんなに早く現実を受け止めなきゃいけない日が来るなんて思わなかった。
「えっ?誰?」
「1組の水原?って人らしいよ。」
「誰それ……?」
「体育の時雪加瀬さんを助けた人らしいの。」
「なにそれおとぎ話みたい!」
ふたりが付き合ったという話は瞬く間に校内に広まった。
その早さは私が放課後、うみくんに直接聞く前に耳に届くほどだった。
「凪!」
最初に私の元へ駆けつけたのは、橘花ちゃんだった。
泣きそうな顔をして私に抱きつく橘花ちゃんに、私は笑いながら背中を撫でた。
「なに、どういうこと?全然話についていけないんだけど。」
「あはは~。」
「なんで水原と雪加瀬水菜が付き合うことになってんの!?」
そのストレートな質問に私は答えることができなかった。
私にも分からなかったから。
どうして、うみくんが雪加瀬さんのことをこんなに早く好きになったのか。
私の方が知りたい。
「凪……。」
私の顔を見た橘花ちゃんが声を漏らす。
「どうしたの?橘花ちゃん。」
「……泣きたいなら、泣いていいんだよ。」
「やだなあ、泣きたいわけないじゃん。」
そう言って笑顔の仮面を貼り付ける。
ずいぶん、作り笑いが上手になった。
この1週間、ふたりが話す姿をよく見かけた。
すれ違いざまに目が合っているところを、見たこともある。
知らない人じゃ気づかない些細な出来事。
でも私は知っている。
雪加瀬さんがうみくんを好きだってことを。
心の準備はしてたつもりだった。
でも、こんなに早く現実を受け止めなきゃいけない日が来るなんて思わなかった。