マリンスノー
「私、全然悲しくないんだ。」
「凪……。」
「雪加瀬さんみたいな良い子が、うみくんの彼女なら私全然譲るよ。」
“譲る”
その言葉に違和感を覚えつつもそう口にした。
譲るなんて、元々私のものじゃないのに。
うみくんは、誰の物でもないのに。
変な独占欲が、言葉に絡みつく。
「何かあったら、すぐに言うんだよ。」
橘花ちゃんの優しさがボロボロの心に染み渡る。
泣きそうになるのをこらえながら、また作り笑いを貼り付けた。
「凪、帰ろう。」
「えっ。」
放課後、いつものように帰ろうと呼びに来るうみくんにびっくりしてしまった。
「どうかした?」
「えっと、私と帰っていいの……?」
うみくん本人から付き合っている報告を受けていないから。
雪加瀬さんと一緒に帰らなくてもいいのか、なんてストレートに聞けず言葉を濁してしまう。
「どうして一緒に帰っちゃいけないの?」
本当に不思議そうに尋ねるうみくんに。
どうしてか、無性に嬉しくなった。
「帰ろっか。」
「うん。」
そう言って私は、スクールバックを肩にかけうみくんと一緒に玄関まで向かった。
「そういえば、凪。」
「ん?」
「僕、彼女ができたんだ。」
「……そうなんだ。」
言われることを覚悟していたけど。
やっぱりうみくんから直接聞くのは辛いなあ……。
彼女ができた。
その一言が私の心臓を遠慮なくえぐっていく。
ぐりぐりとナイフでかき混ぜられてるみたい。
だんだんと、じわじわ痛みが襲ってくる。
「凪……。」
「雪加瀬さんみたいな良い子が、うみくんの彼女なら私全然譲るよ。」
“譲る”
その言葉に違和感を覚えつつもそう口にした。
譲るなんて、元々私のものじゃないのに。
うみくんは、誰の物でもないのに。
変な独占欲が、言葉に絡みつく。
「何かあったら、すぐに言うんだよ。」
橘花ちゃんの優しさがボロボロの心に染み渡る。
泣きそうになるのをこらえながら、また作り笑いを貼り付けた。
「凪、帰ろう。」
「えっ。」
放課後、いつものように帰ろうと呼びに来るうみくんにびっくりしてしまった。
「どうかした?」
「えっと、私と帰っていいの……?」
うみくん本人から付き合っている報告を受けていないから。
雪加瀬さんと一緒に帰らなくてもいいのか、なんてストレートに聞けず言葉を濁してしまう。
「どうして一緒に帰っちゃいけないの?」
本当に不思議そうに尋ねるうみくんに。
どうしてか、無性に嬉しくなった。
「帰ろっか。」
「うん。」
そう言って私は、スクールバックを肩にかけうみくんと一緒に玄関まで向かった。
「そういえば、凪。」
「ん?」
「僕、彼女ができたんだ。」
「……そうなんだ。」
言われることを覚悟していたけど。
やっぱりうみくんから直接聞くのは辛いなあ……。
彼女ができた。
その一言が私の心臓を遠慮なくえぐっていく。
ぐりぐりとナイフでかき混ぜられてるみたい。
だんだんと、じわじわ痛みが襲ってくる。