マリンスノー
「あの。」
「は、はい!」
いきなり声をかけられて上ずった声が出てしまう。
そして気が付いた。
いつの間にか、涙が引っ込んでいることに。
「俺たちって知り合いだっけ?」
「え?」
「いや、名前。君は俺の名前知ってるけど、俺は君の名前知らないからさ。」
少し遠慮がちにそう言う冬野くん。
きっと自分が私の名前を思い出せないことに後ろめたさがあるんだろう。
でも仕方ないと思う。
だって、私たち知り合いじゃないから。
「知り合いじゃないですよ。」
そういうと、冬野くんは安心したように胸をなでおろす。
「冬野くんは、有名だから。」
「有名?」
そのきょとんとした顔が、うみくんに重なって見えた。
ああやだな。
こんな時にまで、うみくんを思い出してしまうなんて。
ピリピリと痛む胸をキュッと抑えながら、笑顔で答える。
「学年1かっこいい冬野くん、で有名ですよ。」
そう教えると、かあああっと顔が赤くなって口元を隠す冬野くん。
なんだか想像していた冬野くんと少し違う。
「なにそれ……、恥ずかしいんだけど。」
照れてるんだ。
冬野くんも、照れたりするんだなあ。
「ってことは、俺のこと一方的に知ってるってことだよね?」
「うん。」
「じゃあ、君の名前教えて。」
「えっ。」
「俺だけ知らないのは、不公平でしょ。」
じっと見つめてくる冬野くんに不覚にもドキドキしてしまう。
こんなに誰かに見つめられることなんてないから、緊張しちゃう……。
「ほ、堀川です。」
「堀川さんね。下の名前は?」
「な、なぎです。」
「堀川凪ね。」
名前を知れたことに満足したのか。
納得したように笑みを浮かべている。
「は、はい!」
いきなり声をかけられて上ずった声が出てしまう。
そして気が付いた。
いつの間にか、涙が引っ込んでいることに。
「俺たちって知り合いだっけ?」
「え?」
「いや、名前。君は俺の名前知ってるけど、俺は君の名前知らないからさ。」
少し遠慮がちにそう言う冬野くん。
きっと自分が私の名前を思い出せないことに後ろめたさがあるんだろう。
でも仕方ないと思う。
だって、私たち知り合いじゃないから。
「知り合いじゃないですよ。」
そういうと、冬野くんは安心したように胸をなでおろす。
「冬野くんは、有名だから。」
「有名?」
そのきょとんとした顔が、うみくんに重なって見えた。
ああやだな。
こんな時にまで、うみくんを思い出してしまうなんて。
ピリピリと痛む胸をキュッと抑えながら、笑顔で答える。
「学年1かっこいい冬野くん、で有名ですよ。」
そう教えると、かあああっと顔が赤くなって口元を隠す冬野くん。
なんだか想像していた冬野くんと少し違う。
「なにそれ……、恥ずかしいんだけど。」
照れてるんだ。
冬野くんも、照れたりするんだなあ。
「ってことは、俺のこと一方的に知ってるってことだよね?」
「うん。」
「じゃあ、君の名前教えて。」
「えっ。」
「俺だけ知らないのは、不公平でしょ。」
じっと見つめてくる冬野くんに不覚にもドキドキしてしまう。
こんなに誰かに見つめられることなんてないから、緊張しちゃう……。
「ほ、堀川です。」
「堀川さんね。下の名前は?」
「な、なぎです。」
「堀川凪ね。」
名前を知れたことに満足したのか。
納得したように笑みを浮かべている。