マリンスノー
*
「水原のおかげで助かった……」

「気づけて良かったね。」

今日の英語は課題として出た部分を板書することになって。
くじ引きで引かれた出席番号の人が書くことになった。
運が良いのか悪いのか、橘花ちゃんは当たっちゃって。
でも、うみくんのおかげで板書することができた。

「水原頭良いから助かるよね。」

「うみくんは小さい頃から賢かったんだよね。」

うみくんは頭が良い。
勉強をすることが苦痛に感じないらしく、むしろ楽しいと言って好んで勉強している。
かといってガリ勉なわけじゃない。
本を読んだり、ゲームをしたり。買い物だって好き。
きっと勉強もそんな感じで好きなんだと思う。

だから私と同じ高校を受けると知ったとき驚いた。
私も頭は悪い方ではないと思うけど、うみくんに比べたら全然で。
うみくんはきっと県内トップ校を受験すると思っていたから必然的に高校は離れると思っていた。
でもうみくんは、「家から近いから」なんて安直な理由で私と同じ高校を受験すると教えてくれた。

ただ嬉しかった。あと3年一緒にずっといられるんだって。

「そういえば、水原は大学どこ受けるの?」

「まだそういう話はしたことないかも。」

高校2年生の冬。もうすぐ受験に本腰を入れ始める時期。
でもきっと大学は別々になると思う。

うみくんは将来についてじっくり考えるタイプの人だから。
2年の4月からいろんな所のパンフレットを取り寄せたり、夏休みにはオープンキャンパスに行ったりしていた。
どこも県外の大学ばかりで。
うみくんは、ここから離れるつもりなんだってなんとなく察しがついている。

「一緒にいられるならずっと一緒がいいな。」

「じゃあ大学も一緒な所受けたらいいんじゃない?」

「大学まで一緒だったら流石にうみくんも私の気持ちに気づいちゃうよ。」

「水原は鈍感だしあり得ないと思うけどね。」

「そこまでじゃないと思うけど。」

「まあでもよく今まで彼女できなかったよね。」

「私的にはすごくありがたいんだけどね。」


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