君の優しい嘘と僕の哀しい嘘
君と僕が初めて会ったあの日と同じ4月1日に君は…
この世を去った…
君は僕が”嘘だろ?”って聞いたあの日、最後に言った。
”さよなら”じゃなくて”ありがとう”って。君の口から聞こえた言葉は”さよなら”だけど
そう言った君は、小さく”ありがとう”って言ったんだ。僕が君の声を口パクを見逃すわけがない。

そして多分君はきっと僕に幸せになってと言うんだろ?
新しい恋人を探す。家族と一緒に毎日を過ごす。沢山の幸せの形があるだろう。
それでもね?この先どんな幸せを感じる事があっても僕が一番幸せを感じたのは”君が笑った時”なんだよ?
だからあの日の僕は、君が笑って”さよなら”と”ありがとう”って言った時とても幸せだったんだよ。

本当はあの日、僕は君に言おうとして居たんだ。
”君が長く無いのは知ってるよ?”って、でもあの日君は笑顔で僕が来るのを待って居て小さく涙ぐみながら”愛してる”って言ったから僕は言えなかった…君は決めたんだと思ったから言えなかったんだ。

残念だったね?これでも君の事は僕が一番知ってるんだよ。だから君が僕に聞こえまいと呟いた言葉だって僕は絶対に
ーー”聞き逃してあげないよ?”
それでも僕は、今は君の

”あなたより先には逝かないよ?あなたの聞かせてくれた事が本当かどうか確かめなきゃね?”

といった嘘の理由まで聞かないようにするね。だって、僕は君の事を、存在を決して忘れはしないから。約束だよ。
だから、僕もいつか君の傍に行った時に沢山叱って、沢山甘やかせて…
あぁ。君の事だから、きっと
”あなたは私の言う事を聞かないのねっ!”
って叱ってばかりなんだろうな。…でも、それでも良いかもしれないな。
だからっ…沢山。たっくさん話しをしようね?
何日だって何回だって聞くよ。君の話なら僕は何だって聞きたいんだ。言えなかった事。言いたかった事。全てをいつか聞きに行くから。絶対に、ね。
それまでは、4月1日の君の小さな嘘を信じて過ごすよ。
だから今だけは安らかに眠ってね。

それまでしばらくは、”さよなら”。
僕の”最愛の嘘つき真実さん”
君を”大好きな嘘つき真事より”
ーー”愛してる”
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

魔王と勇者の望まれぬ結末

総文字数/10,557

ファンタジー10ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop