あの子のヒミツ
「ただいまー。」
家に帰っても「おかえり」は、言われない。
聞こえてくるのは、言い争いの言葉だけ。
また、お父さんとお母さんが喧嘩している。
生まれてからずっとそう。
理由は、お父さんの務めていた会社が上手く行かなかったからだ。
こんな家、もうヤダ。
私は、棚にあったドール人形を見つめる。
(お父さんとお母さんなんか、消えちゃえば良いんだ・・・・)
そう思い、私は自室に向かう。
数分後、言い争いの声が止んだ。
リビングに行くと、お母さんは夕飯の準備をしていた。
「ねぇ、お母さん・・・・・・。」
私は、声をかけお母さんの背中に触れた。
ゴトッ
「え・・・・・・。」
お母さんが、お姫様の人形になっていた。