墜落的トキシック
「着実に仲良くなってるじゃーん。よかったねえ」
「だから違うってば!」
他人事だからって、楽しげにころころと笑い続ける麻美に頬を膨らませる。
私と侑吏くんが仲良く見えるなんて、麻美のその目は節穴なの?
「いい? 私は侑吏くんが嫌いなの!」
「どうだか」
「嫌いなんだってば!」
「はいはい。今のところは、ね」
全然真剣に取り合ってくれない麻美を説得するのは早々に諦めて、ふう、と息をつく。
嫌いだもん。
嫌いなんだよ、侑吏くんなんて。
修学旅行実行委員さえなければ私だって───と考えたところで先刻侑吏くんと交わした会話を思い出した。
麻美に向かって口を開く。
「ごめん。今日の昼休み、委員の仕事があるから侑吏くんと食べるね」
いつもお昼ご飯は麻美と食べるから。
ごめん、と同時に顔の前で手を合わせた私に麻美は。
「ほーん。私を差し置いて佐和くんと密会ってわけね」
「だからそうじゃないってば!!」
弾かれるように声を張り上げた私に、麻美はしばらくの間けたけたと笑い声を浴びせ続けたのだった。