墜落的トキシック
▼ Ⅰ ▼ 絶対的マイナス
気になる人
◆
きっかけというものは、突然訪れる。
それが期待値以上でも、はたまた不本意でも、いつだってターニングポイントは急に目の前に現れるものなのだ。
例えばそう、
『あれ? そういえば今日、花乃って日直じゃなかった?』
私の場合は友人のこの一言がそれだった。
─────それは遡ること数分。
4月。放課後。
窓から春のうららかな日差しが差し込む中、何の気なしに友達の麻美と昇降口に向かっていたときのこと。
麻美に指摘されるその時まで、日直に当たっていたことは私の頭からすっかり抜け落ちていたんだ。
日直に課される放課後の仕事はなかなかの大ボリューム。
黒板消し、学級日誌、窓閉め施錠に加えて各教科の提出ノートをまとめて職員室に運んだり……エトセトラエトセトラ。
日直は1日に2人ずつ。
普通なら分担して終える仕事を、私がすっぽかしたせいで1人で……なんて考えただけでぞっとした。
というわけで、今はちょうど教室まで慌てて引き返してきたところ。