墜落的トキシック


なんとか言って、と私に告げたのはハルの方なのに、そのわりに私に話すチャンスを与えてくれない。


ハルの手が私の顎を掴んで。
強引に正面に戻したかと思えば。




「っ、んぅ……っ」




抵抗する暇も与えられず、唇が合わさった。
驚きのあまり目を見開く。



今までのキスと全然違う。
ハルのキスはそっと合わせるだけの優しいもの、のはずなのに。


噛みつくみたいだ。
滅茶苦茶に好き勝手、蹂躙される。




「っ、んん……」




呼吸もうながしてくれない。
息を吸おうものなら、邪魔される。


苦しい。


水の中に沈められているような感覚。


生理的な涙がじわっと浮かんで、目のふちからこぼれ落ちた。
それが合図だったかのように。




「っ、は……るっ」





合間にかすかに名前を呼ぶ。
もうやめて。お願い。


……いやだ。
すごく、怖い。


怖い。
それに、私は。

私が、こういうことをしたいと思うのは────。



無意識に眉が寄る。
苦しげに歪んだ私の表情に目を細めたハルは。




「っ、痛……っ」




がりっ、と私の上唇に歯を立てて。
それから、やっと唇を離した。



酸素が足りなくて頭がくらくらする。
肩で息をしながら、呼吸を落ち着けていると。




「なんで拒まないの」

「……っ?」

「……拒めなくしたのは俺か」



は、と乾いた笑い声。
深い後悔が滲んでいるようにも聞こえて。




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