墜落的トキシック
「……花乃、好き」
今までで一番まっすぐに届いた、ハルの好き。
受けとめる。しっかりと。
「ありがとう」
「……」
「でも……ごめん、なさい」
「……うん」
『依存だよ』
侑吏くんに保健室でそう言われたとき、かっとしたのは、きっと図星だったからだ。
ハルだけじゃない。
私もきっと、どこかで気づいていた。
傷つけるのが、傷つくのが怖くて、見ないフリをしてきただけで。
何もかもから目をそらして、ハルがいてくれる心地よさに浸かって。
恋にしようとしていた。
ハルの苦しさに自分の苦しさを重ねて、恋にしようと。
でも、全然駄目だった。
恋になんて、ならない。
大切だった、だけど。
大切にしたいからというだけの理由では、そんな理屈では、恋はできない。
私とハルの好き、は最後まで一瞬たりとも重なっていなかった。
「花乃。俺ね、もう大丈夫なんだよ」
「え……?」
首をかしげた私の口元をハルの親指が、ぐい、と拭った。
その親指に乗り移った、赤。
ハルが私の上唇を噛んで、流れた血。
それをハルはじっと見つめて、そしてふっ、と笑う。