墜落的トキシック
あの化学準備室の一件以来、佐和くんとは極力関わらないようにしてきたのに。
あれからわずか一週間ほどで水の泡だ。
……これから一ヶ月も隣の席なんて。
あまりにもツイていない。
まだ1限も始まっていないというのに、一日分の体力を使い果たしたような気がする。
へなへなと座り込むと、クラスメイト達の話し声が耳に入ってきて。
「今回、佐和の席ってどこ?」
「あー、あの辺。真ん中のあたり」
「隣の席は誰なんだろ?」
「えーっと、久住さん、みたいだよ」
主に女の子の声。
今私の名前、呼ばれた……?
反応して顔をあげると、一人の女の子が私の方に近づいてきていた。
「久住さーんっ」
「……?」
北村さん。
360度、頭のてっぺんから爪先まで可愛いを徹底している女の子。
北村さんを見て、可愛いと思わない人なんていないんじゃないだろうか。
同じクラスになって初めて彼女を見たとき、可愛いという感想しか思い浮かばなかったくらいだもん。
そんな北村さんと私の接点といえば、クラスメイトであるということくらい。
話した回数もゼロに等しくて。
だから彼女が私に声をかける理由がわからなくてきょとんとする。
……私に何の用だろう。