墜落的トキシック
「その……久住さんに折り入ってお願いしたいことがあって」
「はあ、」
わけがわからず呆然とする私に。
北村さんは恥ずかしそうに身体を縮こめながら、顔の前で両手をぱんっ、と合わせた。
「私と席を交換してくれないかな……っ!?」
「席、交換……?」
戸惑いを隠せずに瞬きを繰り返していると、北村さんは教室の後ろの方をぴしっと指差して。
「私の引いた席、あの空いてるところなんだけど……。どうかなっ?」
いちばん後ろの窓際。
カーテンがはためいて光が差し込んでいる。
……え、神席じゃん。
直後、その席の近くに麻美が座るのを確認してなおさら輝いて見えた。
「交換って、逆にいいのっ? あんなにいい席なのに……」
先生の死角に入れるし、
窓の外が見えるのもポイントが高い。
こくん、と頷いた北村さんに後光が差して見える。
救世主─────いや、顔が可愛いのも相まって、天使だ。
天使にしか見えない。
「ほ、本当に?」
あまりの好条件が信じられなくて、再度確認すると、北村さんと仲良しの女の子たち数人が彼女を軽く小突いた。