墜落的トキシック
一瞬悔しそうに私を見つめたかと思えば、元の席に戻っていってしまう。
周りにいたお友達軍団も気づけばいなくなっていた。
「ちょっと佐和くん!?」
「あ?」
私はというと、この状況を大人しく受け入れられるわけもなく。
すんっと息を吸って一度にまくし立てた。
「何してくれてんのよっ!!! 北村さんのおかげで、せっかく佐和くんの隣から解放されて、麻美の近くの神席で最高の5月を過ごす予定だったのに!! 佐和くんが口を挟んだせいでめちゃくちゃじゃん……最悪……」
っていうか、そもそも
佐和くんに何の権利があって、私と北村さんのことに口を挟んだりできるの。
おかしいでしょ。
黙って突っぱねる佐和くんに再度畳み掛ける。
私は今、非常に怒っているのだ。
「っていうか、佐和くんだって! 私より北村さんと隣の方が絶対楽しいでしょっ?」
「……まあ、あいつの方が久住さんより100倍くらい顔は好み」
「っ、」
100倍は言いすぎ! ととっさに言い返しそうになってやめた。
……冷静に考えると北村さんが相手なら100倍でも足りないような気さえする。
それほど可愛い女の子を佐和くんごときがとりこにしているなんて、なにかの冗談じゃないかと思う。