墜落的トキシック
「それなら、北村さんに隣に来てもらえばよかったじゃん! 仲良いんでしょ!」
「仲?」
「だって、下の名前で呼んでた!」
“侑吏”
“琴葉”
そんなに仲良しなら、ふらふらしたりせずに付き合えばいいのに。
それで仲良く隣の席に座ればいいのに。
追い返すなんて、北村さんが可哀想だ。
なんて思っていると。
「あー……、あれはあいつが下の名前で呼んでほしいってうるさかったから。仕方なく」
「っ、はあ?」
仕方なく呼んであげてるってこと?
それはそれで北村さんが不憫すぎる。
もう十分わかっているつもりでいたけれど、やっぱりこの人。
「最ッ低!!」
ドスの効いた声でののしるも、佐和くんには少しも効果がないみたいだった。
反省するどころか、嫌味ったらしく口角をあげる。
「でも、わかったろ?」
「……なにがっ、」
「久住さんと違って、俺はモテるってこと」
…………!
今、自分で “モテる” って言った。
自意識過剰だ、と言い返したいのにあながち間違いではないため言葉に詰まる。