墜落的トキシック
生意気な人
◆
一週間後。
放課後の始まるチャイムを背に、やって来たのは誰もいないプールサイド。
……ニッセンの言いつけ通り、プール掃除をするためだ。
あのあと、そういえばどうしてプール掃除なんだろう、と不思議に思ったのだけれど、どうやらニッセンは水泳部の副顧問だったみたい。初耳。
水はほとんど抜かれていて、空っぽに近い。
わずかに薄く張った水面にきらめく光を見つけて、ため息ひとつ。
「……」
放課後、グラウンドでは様々な部活動が練習の真っ最中。
だけど、にぎやかなグラウンドとは校舎を挟んで反対側にある、ここ、プールは喧騒から切り離されたように静かだった。
ちなみに、今日、水泳部はオフらしい。
……だったら水泳部の部員に掃除させればいいのに、とちょっと思ってしまう。
でも、もういいや。仕方ない。
こうなった以上は、掃除なんかさっさと終わらせてしまおう。
できるだけ早く帰れるように頑張ろう。
「……よしっ」
むんっ、と一人、気合いを入れて。
それからシャツの袖をくるくると捲って、スカートも何回か腰のところで折って裾を上げた。
どうせ濡れてしまうだろうけれど、一応対策、だ。