スパークリング・ハニー
つい先ほどまでの数学の授業中。
うつらうつらしているところを、運悪く見つかってしまった私は、タケぽんの集中攻撃を浴びることとなったの。
まあ、睡魔に負けそうになっていた私も私なんだけどね。
でも、仕方ないんだもん。
数式をみると、眠くなっちゃうの。
目をつけられた私は、一時間ものあいだ、ことあるごとにタケぽんに当てられつづけ、数学が大の苦手な私はその度に珍回答をくり返して。
その度にタケぽんの眉間にしわが増えていった。コワモテがさらに迫力を増したのは言うまでもない。
「 “瑞沢!この問題、解いてみろ。解けるだろ、そうだろ?だからうとうとしてたんだよなあ?” 」
顔マネと声マネで授業中のタケぽんを再現してみせると、また、どっと笑い声があがる。
たしかに災難だったけれど、みんながこんなに笑ってくれるならそれでチャラかもしれない。
私、ひとの笑顔が好き。
誰かの笑う表情をみるだけで、笑い声をきくだけで、幸せな気持ちになるの。
だからね、みんなの笑顔をつくれるようなひとになりたい。
それは、幼い頃から変わらない、ささいで小さくて、だけど大きな夢だ。