スパークリング・ハニー


気持ちよさそうに夢のなかにいる瑞沢の、その寝顔はなんていうか、ほんとうに、女の子だった。


……いや、どの瞬間も瑞沢は女の子なんだけど。



起きているときになんて、到底ゆるされない距離からその姿をまじまじと見つめていると、甘ったるい感情が次々とうまれてくる。



「……ほんと、かわいーよな」



閉ざされた瞼、くるんとした睫毛は思っていたより長くて、しっかり影をつくっている。



切りすぎた、なんて恥ずかしがっていた前髪。たしかに前より幾分も短くなっているけれど、彼女が心配するほど変ではなくて、むしろ……。


瑞沢のセミロングの髪の毛にはいつも外ハネのクセがついていて、今も背中や肩のところでぴょこんと毛先が跳ねている。



そのハニーブラウンの髪が視界に入るたび、捕まえたい、なんてよこしまな心を抱いていることを瑞沢はぜったい知らない。


誰にでも思うわけじゃないんだ。


かわいいとか、捕まえたいとか、そういう衝動が起こるのは、瑞沢に対してだけ。



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