スパークリング・ハニー
じりじり、焦げついちゃいそうなくらいの熱い視線を篠宮くんに送る。
もちろん、一方通行だ。
私と篠宮くんの接点はクラスメイトということ以外には、なにもない。
話すことすらほとんどないその距離は、果てしなく遠くて、だからこそ、昨日、少しでも話せたことが奇跡みたいに嬉しい。
「光莉、なに見てるの?」
「はわっ、なんでもないよ!」
慌てて視線の先をごまかす。
だけど、数秒後には元どおり。
今度はばれないようにそっと────。
「っ!」
瞬間、体を電流が走るような感覚がした。
うそ。
一方通行のはずだった視線の、その先にいる篠宮くん。
そのハチミツ色のきれいな瞳が、こちらに向けられている。
重なった視線に、動揺のあまり椅子から落っこちそうになった。
……ぎりぎり、もちこたえたけれど。
このままじっと見つめているのはおかしいかもしれない。
だけど、私の方からそらしてしまうのはもったいない。