スパークリング・ハニー
きょとんとする。
目の前のみなみちゃんは、少し表情を曇らせていた。
どうやら、みなみちゃんの心配ごとは、おでこの怪我……だけではなさそうだ。
「ひかちゃん、大丈夫?」
「え……わ、私? 元気もりもりだよ!?」
両手でこぶしをつくって、むんっと動かしてみせる。
廊下の開いた窓からは冷たくなった風が吹き込んでいる。
秋はもう終わりに近づいていて、今年も冬がやってくる気配がする。
季節の変わり目、体調を崩しやすいっていうけれど、私はむしろぜんぜん元気だ。もともと体は強い方、風邪はめったに引かないの。
「だから……そうじゃなくて」
「ええっと……?」
「最近、ずっとどこかうわの空じゃない?」
どきっとする。
図星、だったから。
やっぱり隠し通せるものじゃなかった。
誰が見ても今の私は変なんだな。
────考えごとをしている。
ずっと、何をしていても心につっかえているものがある。
そのせいだよ、全部。
壁にぶつかったり、先生にあてられても気づかなかったり、椅子から落っこちそうになったり。
いつも通りに振舞っているつもりでも、私にはやっぱり上手くできなくて、ボロが出ちゃっているんだ。