スパークリング・ハニー
私の記憶ちがいかもしれない。
でも、もし、記憶ちがいじゃなかったとしたら……?
これは篠宮くんの仕事。
ということは、提出が遅れたなら、必然的に篠宮くんが先生に叱られることになるだろう。
体育の先生は、タケぽんとまではいかないけれど、それでも厳しいことで有名だ、とそこまで考えて。
そんなの、あんまりだよ。
篠宮くんはただでさえ、部活を頑張っていて忙しい。
それに、このプリントだって、サボったわけじゃないと思う。だって篠宮くんのことだもの。
うっかり提出日を忘れてしまうことくらい、誰にだってある。
それで叱られてしまうのは、ちょっと気の毒なんじゃ……とやっぱり思うのだ。
でも、だからってどうすればいいんだろう。
篠宮くんはただいま絶賛部活中だし、それが終わったらそのまま帰ってしまうし。
「……!」
そうだ、いいことを思いついた。
私が残りの欄をうめて、篠宮くんの代わりに届ければいいんだ。
うんうん、そうしよう。
それがいちばんの解決策。
だって、私、ぜんぜん忙しくないもんね。
そうと決まれば、と数学の教科書をぱたんと閉じて、代わりに名簿を手に取った。