スパークリング・ハニー
だけどね、もう、いい。
嫌われても、どう思われても、いいの。
大切なことはそんなものじゃない。
ちゃんと覚悟を決めたんだ。
私の言葉を黙って聞いていた梶田くんが、ふっと口もとをゆるめる。そうこなくっちゃ、と言わんばかりの笑みだ。
そして指を一本、すっと立てる。
「その1、中学一年生のとき朝陽は練習試合で、他校の先輩の足をひっかけて怪我をさせてしまいました」
「……!」
「その2、その先輩は地区では有名な選手で、いずれはプロになるだろうと噂されていました」
梶田くんの立てる指が、2本、3本と増えていく。
「その3、その人はその怪我以来、サッカーを辞めてしまいました」
作り物語を語るようなあっさりとした口調で語った梶田くんは、立てた指をそっと戻して。
そこまでとは打って変わった真剣味を帯びた表情と声で、ぐっと顔を近づけた。
「どう? 瑞沢ちゃん、朝陽のことすくえると思う?」
ごくん、と唾をのむ。
肌を刺すような冷気はいつのまにか気にならなくなっていた。
「それは────」