スパークリング・ハニー
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「篠宮くん!」
「瑞沢……っ、と?」
土曜日、9時50分、駅前広場にて。
待ち合わせの時刻の10分前、余裕をもって到着したつもりだったけれど、篠宮くんはすでに待っていた。うう、さすがすぎる。
声をかけた私に、戸惑った様子の篠宮くん。
その戸惑いの原因は、考えなくたってわかる。
隣に立つ彼を、とん、と肘で小突いた。
「あ、光莉の兄の瑞沢瑛斗です。こんにちは」
慌てつつ、照れたように挨拶をするお兄ちゃん。
篠宮くんは驚いて目を見開いている。
あたりまえともいえる反応だ。
お兄ちゃんを連れてくることは篠宮くんには秘密にしていたのだから。
「お兄さん、ですか?」
「そう、私のお兄ちゃんです」
「瑛斗さん、が……。そっか、瑞沢瑛斗、さん……」
お兄ちゃんの名前を反芻しながら、篠宮くんの瞳が不安げにぐらりと揺れた。その反応に確信する。
ほんとうに、そうだったんだ。
お兄ちゃん、が。
そういう巡り合わせって、偶然でも必然でもやっぱり起こり得ることなんだなって感心してしまう。
「光莉、このあとは公園に行くんだっけ?」
「うん」
お兄ちゃんに返事をする。
そんな私たちに篠宮くんは戸惑いを隠せない様子で。
「え、今日は図書館に行くって……」
「ごめんね、篠宮くん。勉強するっていうのは嘘なの」
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「篠宮くん!」
「瑞沢……っ、と?」
土曜日、9時50分、駅前広場にて。
待ち合わせの時刻の10分前、余裕をもって到着したつもりだったけれど、篠宮くんはすでに待っていた。うう、さすがすぎる。
声をかけた私に、戸惑った様子の篠宮くん。
その戸惑いの原因は、考えなくたってわかる。
隣に立つ彼を、とん、と肘で小突いた。
「あ、光莉の兄の瑞沢瑛斗です。こんにちは」
慌てつつ、照れたように挨拶をするお兄ちゃん。
篠宮くんは驚いて目を見開いている。
あたりまえともいえる反応だ。
お兄ちゃんを連れてくることは篠宮くんには秘密にしていたのだから。
「お兄さん、ですか?」
「そう、私のお兄ちゃんです」
「瑛斗さん、が……。そっか、瑞沢瑛斗、さん……」
お兄ちゃんの名前を反芻しながら、篠宮くんの瞳が不安げにぐらりと揺れた。その反応に確信する。
ほんとうに、そうだったんだ。
お兄ちゃん、が。
そういう巡り合わせって、偶然でも必然でもやっぱり起こり得ることなんだなって感心してしまう。
「光莉、このあとは公園に行くんだっけ?」
「うん」
お兄ちゃんに返事をする。
そんな私たちに篠宮くんは戸惑いを隠せない様子で。
「え、今日は図書館に行くって……」
「ごめんね、篠宮くん。勉強するっていうのは嘘なの」