スパークリング・ハニー
「待っ、え、……ドッキリ?」
「はは、なわけないじゃん。信じて」
篠宮くんに信じて、って言われたなら信じるしかない。
というか、わかってるよ。
こういうことで、篠宮くんは嘘を言ったりしないひとだ。
だけど、だけど。
「えええ、だって。混乱、してて……」
「混乱?」
「だって、私、ずっとずっと篠宮くんに憧れてて。篠宮くんのことを知るたび、どんどん好きになって、すごく、好きで。大好きで……っ、だから」
「だから、付き合ってくれる?」
こてんと首を傾げた篠宮くん。
その声も、その仕草も、ああもう、ぜんぶがずるい。
そんなの、もう、頷くしかないじゃん。
こくん、と頷いた瞬間。
「……!」
篠宮くんの腕が私をぐいっと引き寄せる。
すっぽりとその体温に包み込まれて、抱きしめられてるんだって気づいたのは、少ししてからだった。
どきどきして、心臓が痛くて、でもその痛みさえいとしいの。
香るシトラスは、ちゃんと、甘酸っぱかった。