スパークリング・ハニー
現在、美術の授業中。
私たちの高校では、芸術は選択科目────音楽、美術、書道の3科目のなかからひとつ選んでとることになっている。
たまたま私もひかちゃんもこもりんも美術選択で。
さらには、美術の授業は2クラス合同で行うから、他クラスのふたりと一緒に授業を受けているの。
去年から仲がよかったけれど、クラスが離れてしまって寂しかったから、こうやって一緒に授業を受けられる時間があるのは、純粋に嬉しい。
「みなみちゃんは、結局どの花にしたのー?」
こてん、と首を傾げたひかちゃんが私の手元を覗き込む。
絵はそんなに上手じゃない、から、あんまりまじまじと見つめられると困ってしまう。
だけど、ひかちゃんの瞳がきらきらと輝いているからそれをむげにはできなくて。
結局抵抗できずにひかちゃんに描きかけの絵を見せると。ぱっとその表情が華やぐ。
「きれー……!赤い……ええと、ユリ?」
「アマリリスだって」
「アマリリスっていうんだ! へえ、たしかにすごくこもりんっぽい……」
鮮やかな赤色の花弁をもつ、大輪の花。
その快活さと、つんとした強さと、それでいてどこか気品のある感じがぴったりかなって。