スパークリング・ハニー
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かなわない、って知ったのはいつだったっけ。

ごく最近な気もするし、もうずっと昔のような気もする。




────篠宮朝陽。幼なじみ。


朝陽にとって私は、それ以上でもそれ以下でもなくて。

ただ、私にとっては全然ちがう、幼なじみなんてひとことでは到底説明できそうにないよ、朝陽のこと。



朝陽と私は、親同士がすごく仲良くて、それから家も近くて。必然的に会う回数も増えるわけで。



物心ついたときから、私、朝陽のことを追いかけ回していた。

遠くなっていこうとするその背中をずっと追いかけて、追いついて、また遠ざかって、追いかけて……って、ずっと繰り返していたんだよね。



小学生のとき、朝陽がとつぜんサッカーチームに入るってなって、『私も入りたい!』ってママとパパに泣いてせがんだこともあったっけ。


結局、チームの規定で女の子は入団できないと断られてしまったのだけどね。




『その代わり、みなみは、誰よりも朝陽くんを応援してあげる存在になればいいのよ』




ママにそうなだめられて、そう、そのときからだ。


私はいつだって、朝陽をいちばんに応援しようって、味方でいようって心に決めたの。




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