スパークリング・ハニー
幼なじみじゃ、応援しているだけじゃ、ぜんぜん足りない。
朝陽にも同じように思ってほしい。
────だけど。
『朝陽くんとみなみちゃんってお似合いだね』
お似合い?
……どこが。
追いかけても追いかけても、全然追いつけない。
きっと少しでも目を離せば朝陽は手の届かないところへ行ってしまう。私はいつも必死なの。
かなわない。
叶わない、適わない、敵わない。
そのぜんぶを含んだ、“かなわない”、思い知ったのは中学一年生の────そう、朝陽が他校の先輩に怪我を負わせて、サッカーを辞めて、そして。
しばらくして突然、サッカーに復帰したときのことだ。
────サッカーを辞めた、あのときの朝陽をすくうのは私の役目なんだと、そう思っていた。
だって、私がいちばん朝陽のことを知っている、だれよりも。
『朝陽、……サッカーほんとうにやめちゃうの?』
『……やめるよ』
『でも、あれは事故で────』
『関係ない。続けたって意味ないし』
『っ、でも』
“辞めないでほしい”
口にする前に、ひるんだのは、朝陽がとても冷たい目をしていたから。
それで、私は向き合うのをやめてしまったんだ。