スパークリング・ハニー
────託した願いは、ひかちゃんがかなえてくれた。
私がどんなに嬉しかったかわかる?
ううん、誰も、わからないと思う。
冬の大会、予選、あのグラウンドで。
昔みたいになんの躊躇もない動きをする朝陽に、朝陽がその足で奪ったボールに、そのあとで見せた大輪の笑顔に。
私がどれだけそれを待っていたか、わかる?
それがどんなに嬉しかったか、わかる?
我慢できなくて、ずっとぼろぼろと泣いていた。試合が終わる頃には泣き疲れるほど。
────そうなるってわかっていたから、目立たない場所で観戦していたのだけれど。
試合が終わって、たぶん、ひかちゃんに会いに行こうとする前だと思う。片付けをする朝陽とたまたま離れたところで目が合って。
泣き腫らした私の目を見て、朝陽はちょっと笑ったんだ。幼なじみに向けるからかうような笑顔。
────それで、もう思い残すことはないって思ったよ。
そのあと、ひかちゃんの元へ駆けていく朝陽の背中にちゃんと思えたよ。ひかちゃんと上手く行きますようにって。
だからって私の恋が、かんたんに終わってくれるわけではないけれど、それでもちゃんと幸せを願えたんだ。
遠くからふたりの姿をこっそり見つめて、やっぱりお似合いだなあって思ったんだ、そしてちょっぴりだけ羨ましいなって思った。