スパークリング・ハニー
〖SIDE 光莉〗
「篠宮くん、ただいま────っ、」
返事がない。
「……?」
煌々とあかるい蛍光灯。
外はもう暗くって、そんな教室のなか。
め、珍しい。
机に突っ伏して目を閉じているのは、篠宮くん。
篠宮くんが眠っている、なんて、レアだ。
「篠宮くー……ん」
そろそろと忍びこんで(自分の教室だけど)、小声で名前を呼ぶけれど、やっぱり返事はなくて。
ええ、ほんとうに、寝ているの?
────テスト期間なの。
部活がオフになるから、篠宮くんが提案してくれて、教室にふたり残って毎日一緒に勉強しようって。
例によって数学がヤヴァイからね、私。
そして情けないことに、今日までに提出だった課題も終わっていなくて、こんな時間まで篠宮くんを付き合わせてしまった。
120パーセント、篠宮くんのおかげで無事に完成した課題を提出しに職員室に行ってきて、帰ってきて、いま。
私が職員室まで往復するだけの短時間で眠ってしまったみたい、疲れていたのかな……それなら、篠宮くんには悪いこと、しちゃったかもしれない。
申し訳ないな、って思いながら。