スパークリング・ハニー
「……瑞沢って寝込み襲うタイプ?」
「な! おそっ、お……っ!?」
言葉にならない悲鳴をあげる私。
心なしか、いじわるに上がっている篠宮くんの口角。
まさか、って心当たり。
「お、起きてたの……?」
「うん」
「いつから……っ!?」
「最初から」
「えええっ」
悪びれず、ははっ、て清々しく笑う篠宮くん。
楽しそうでなにより、なにより……なんだけど。
「なんでっ、?」
「ちょっと魔がさして」
ま……、魔?
まだぜんぜん、心臓が落ちついてくれなくて、ぱくぱくと口を開けたり閉じたり、金魚みたいに。
そんな私の挙動不審さに、くはっ、て笑ってから。
「起きてるときには呼んでくれないの?」
「えっ、えと、どういう……?」
「朝陽、って」
呼んでたくせに、って。
うう、言い逃れできない、だって、現行犯なんだもん。
「篠宮くんは下の名前で呼んでもいやじゃない……?」
「いやそうに見える?」
こてん、と首を傾げて上目づかい。
うわ、その顔は、ずるい。
んん、今日の篠宮くんはちょっといじわるだ。
むむ、と頬をふくらませる。