スパークリング・ハニー
そんな私の頬を指先で、ちょん、って軽くつついた篠宮くん。
あまい顔して、笑うのも、ずるい。
「呼んでほしい、だめ?」
「だめじゃない、よ」
「じゃあ、どうぞ」
「……ぅえっ、今?」
「うん」
きらきら、期待がたっぷりこもった瞳で見つめられて。
ただ名前を呼ぶだけ、「あさひくん」ってたった5文字。
なのに、なんでこんな緊張するかな。
すって、はいて、深呼吸のあと。
「朝陽くん」
「……」
ええ、無反応?
わたしの緊張返せやい、なんて思いながら顔をあげる、と。
「……やばいね、これ」
りんごみたいに耳まで赤くした篠宮くん。
思いもしなかった反応に、ぎゅん、っときた。
名前を呼んだだけでそんな反応してくれるの?
それって、篠宮くん……じゃなかった、朝陽くん、そうとう私のこと好きじゃないですか?
なあんて、もれなく調子乗ってますよ〜、ってそんなこと考えてたら。
「ひかり」
「……っ!?」
理解するよりも先に、ぶわっと、なにかがのぼってくる、からだの中。熱くて、甘い。