スパークリング・ハニー
あたりまえのような顔をして、なんでもないように口にする。
篠宮くんって、ほんと、さらっと……。
まるで当然のことのように、すごいことを言う。
“女の子”。
言われ慣れないその言葉は、妙にくすぐったい。
「だから、送らせて」
送ってもらうのは私の方なのに、お願いするみたいな口調で言われたら、結局断るなんてできなかった。
「ええと……ほんとうに?」
「あたりまえ」
「じゃあ、えと、お願いします」
篠宮くんと私の家は、そんなに近くないはず。
むしろ、まあまあ遠いと思う。
まだ一緒にいられるんだって、シンデレラ、12時の鐘が鳴ってももし魔法が解けなかったら、こんな気持ちだったかな。
嬉しい、だけど、申しわけない、のほうがちょっと大きい。
「俺、瑞沢とこうやって話してみたかったんだよな」
家まで向かう、私にとっては見慣れた帰路。
他愛ない会話のなかで、篠宮くんがそんなことを言う。
油断していたせいで、ずどん、とダイレクトに受けとめてしまった。
「私、とっ?」