スパークリング・ハニー
ぐらんぐらんする。
忙しなく動く心臓の音がうるさい。
でも、ドキドキとかキュンキュンとはちがう、はず。そうじゃないと、困る。
「私と話してみたい、って……どうして?」
大前提として、私と篠宮くんの接点はクラスメイトである、ということだけなのだ。
「なんでだと思う?」
「へっ?」
まさかの質問返し。
意味深に口角をあげた篠宮くんが恨めしい。
なんでかって、そんなの。
わかるわけないじゃん。
だって、私には特別なことなんて……。
うう、強いて言うなら。
「いつもドジ踏んでるから? ええっと、変顔とか一発ギャグがみたいからっ?」
「はは、それ見たいっつったら、してくれんの?」
「しませんけどね!」
ふるふると首を横に振った。
「でも、それくらいしか思いつかないや」
他のみんなに比べて、私のとりえなんて。
いつでも元気なところ、無茶ぶりでもこたえるところ、くらいしか。
……芸人か?
「本気で言ってる?」
「……?」
「瑞沢のいいところなんて、もっと他にあるだろ」