スパークリング・ハニー
「あ、ここ、私の家」
気づけば家の前だった。
篠宮くんといると、時間が経つのが早い。
「今日はありがとう」
「いや、こちらこそ」
ぺこり、頭を下げると篠宮くんも同じようにする。
そして、直後、くるりと背中を向けた彼を手を振って見送った。
夢まぼろしのようだ。
ふたりで、ハンバーガー屋、勉強会、家まで送ってくれて。サッカーの試合見に来てって、話してみたかったって。
都合のいい夢なら、まだしばらく醒めないで、と願ってしまう。
篠宮くんの背中が見えなくなって、ふと、空を見上げると。
もう、すっかり沈んでいたと思っていた太陽が西の地平線に、わずかに残っていて。
「……綺麗」
空の端を金色に染め上げていた。