世界の終り
息が止まった。

とんでもないことだと思った。

そんな馬鹿なこと。

だが彼女の幸せそうな笑顔と、その澄んだ目を見てようやく、彼女を理解した。

すぐに気付かなかった自分を情けなく思った。

そうか、そういうことなんだな。

「そうよ。すばらしいでしょう」



 そして。

 彼女は。

 ほほ笑みながら彼女は、甘く、まとわりつく口づけをしてきた。

 目を閉じて、彼女の素晴らしさを味わった。長く。長く。

 彼女の舌をかるく歯ではさんだ。

 彼女はくすくすと笑った。
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