世界の終り
-5-
そうしてまた、以前の生活が戻った。

会社はなんとかクビにならずに済んだ。

ただ前よりはるかに居心地が悪くなった。

どうでもいいことだった。

もう、何も求めていないのだから。

これ以上ないほどに、満たされているのだから。

つらいときや一人でいるとき、心が崩れそうになるその時々に、いつでも腹のあたりがぽうっと温かくなった。

すると、彼女の存在を一瞬でも忘れかけていたことがとても恥ずかしくなり、いつも苦笑を浮かべてしまう。

何を求めることがある? 

何を迷うことがある?

これからずっと、ふたりっきりで生きていけるのに。

それだけで生きていけるのに。



永遠に。

ずっと。

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