守護霊
第1話 1582年6月25日


第1話 1582年6月25日






「玉さーん!女将の所からお団子分けて頂きやした。玉さんも一緒に食べやしょうよ。」


「・・・・・・・・・いらん。」


その人はこちらに背を向けたままだったけど、お腹から“ぐぅ~”という音が鳴った。


「お腹は正直でやんすね。」


「・・・・・・・・うるせぇ。」


「まったく・・。
いつまで拗ねてるんですかい?

意地張ってないで、羽柴のお頭に頭下げてあっしらも中国攻めに加えて頂きましょうよ。」



ちっともこっちを向いてくれないので、
遠慮しないで団子を一つ頬張る。


「とん平・・・。
俺はぜっっったいに謝らんぞ。

藤吉郎は昔っからすぐ酒に溺れる。

女に暴力を振るう奴は幼馴染みと言えども絶対に許さん!!」


「暴力振るうって・・お頭はただ酔った勢いで女中にちょっかいかけただけじゃないですか?

それに、尾張の川原で三人並んで一緒に握り飯食べてたあの頃と違って、

“木下 藤吉郎”は今や、
信長親分の筆頭家臣、羽柴 秀吉様。

もうただの“幼馴染み”じゃなくて、
今やあっしらの“お頭”ですぜ?

玉さんももうちょっと“立場”を理解してうまいこと立ち回らないと。」



「・・・・・・・あぁぁあ!」


「あ!全部食べることないじゃないですか!?」


「・・・・・・・・・。」


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