守護霊
「じゃあ帰るね!
また今度イベントで。」
「あ、うん。」
「はいっ、いつもの約束。」
ヒトミが顔の前に小指を差し出してきた。
こんな寒い日にシェイクなんて飲むんじゃなかった。
すっかり体温が下がった僕の手は若干プルプルしながらも、いつもの指切りをして、
真冬の夜空を切り裂く笑顔で手を振ったヒトミは、僕と逆方向へと歩き出した。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・
「知らなかった・・・・。」
ファンタスティポの前で、その後ろ姿が見えなくなるまで1人佇んでいた。
好きだからとかじゃなくて、
推しメンとか関係なく、
ヒトミのダンススキルはお世辞抜きでグループNo.1だと思ってる。
それは坂田氏や他の仲間達も同じ意見のはず。
だからこそ僕はあの日のイオンで魅了されたし、
何よりヒトミが全楽曲のセンターポジションにいる理由はそれだと思ってた。
それなのに・・・こんな人知れず居残り練習してたなんて・・・。
嘘偽り無い真っ直ぐな目でああいう事を口にするなんて・・。