無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



今日は駅のほうまで出ていたので、
家に帰る道のりが結構遠い。


薄暗い街灯が照らす、暗い夜道を1人で歩く。



さっきまで樹里と騒ぐに騒いで、楽しい時間を過ごしたあと。


急に1人になると異常なまでの孤独感に襲われる。

1人はもう慣れたはずなのに……。



住宅街を歩いていると、ある家から声が漏れているのが聞こえてきた。



「きゃぁぁ、パパァ!!」

「こらっ、ダメだろう!」



小さい子と、お父さんらしき人の声。

バシャバシャと水の音が聞こえて、声が反響していることから、おそらく一緒にお風呂に入っているんだと思う。



なんだろう……。

別にさびしくなんかないのに。



ごくふつうの温かくて幸せそうな家族。


当たり前のようにある家族の形は、
わたしにとっては全然当たり前じゃない。

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