無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
そのまま学校に到着し、下駄箱で靴を履き替える。
教室に向かうために、夏向と廊下を歩きだそうとした時だった。
ある人が視界に入ってきたのは。
「あ、おはよ、冬花ちゃん」
「おはようございます……、黒瀬先輩」
わたしの存在に気づくと、すぐにわたしと夏向の目の前までやってきた。
——黒瀬佑都(くろせ ゆうと)
ひとつ上の先輩。
黒い髪がよく似合う、黒ぶちのメガネをした、見た目はとても真面目そうな人。
「んー、黒瀬じゃなくて佑都でいいっていつも言ってるのにね」
「慣れてないんです、男の人を下の名前で呼ぶの」
「へー、隣にいる木咲夏向くんだっけ。彼は呼べるのに?」
黒瀬先輩は、見た目の真面目さはただの仮面みたいなもので、性格は夏向までとはいかないけど、難ありな感じ。
女にだらしがないとよく噂を聞く。