無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。

「……選ばせてあげるよ」


「え……？」



「今ここで俺と一緒にいるか。それとも、俺の手を振り切って木咲くんの元にいくか」


さっきまで拘束されていた両手はあっさり手放された。




「冬花ちゃんの動きたいように動けばいいよ」



先輩は本当につかみどころがない人……。

いったいどういう意図があって、いきなりこんなことを言い出しているのか。



ただ……


いつも崩れない表情は


悲しげに笑いながら、崩れていた。


その笑顔を見て、胸が痛んだ。




「俺がどんだけ頑張ったところで、
冬花ちゃんの気持ちはいつまでも木咲くんに向いたままだもんね」


「っ……」



「まあ、俺も悪いところあったからね。
最初は完全に悪ノリだったし。まさか、自分がここまで夢中になるなんて思ってなかったから想定外」



ハハッと、上を向いて軽く笑う佑都先輩。